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ニュース【特集記事02】TISが進めるオープンイノベーション戦略

BIZSPO Labo 事務局
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【特集記事02】TISが進めるオープンイノベーション戦略

その2:スポーツ分野のアクセラレータープログラムを立ち上げ

■新たなお客様接点をつくり、事業部サイドに仲間を増やす

-「オープンイノベーション」にいち早く着手した印象はありますが、社内での理解はどうだったのでしょうか

中村:2015年は確かにまだ、そんなにオープンイノベーションの波はきていなかったですよね。コワーキングスペースとかCVCとかについては、かなり早いうちから取り組んできた会社だと思います。当時の部門長が「いやいや、今後はこうでしょ」という感度だったので進んだのかな。鼻がきいたんですかね(笑)。

でも最初は3.5人分だけの体制ですからね。「何やっているの?」というのは、当然あったと思いますよ。この場所がオープンしたことすら知らない社員も多かっただろうし。だから我々はまず、事業部サイドに仲間をつくりにいったんです。アイデアソンとかいろんなイベントをこの場所で一生懸命やって、お客さんを呼んで……。通常弊社では、お客様というと企業内の情報システム部門の方々なのですが、こういうイベントには同じ会社の別事業部の方も来てくださる。新規事業担当系の方々も結構お越しになりますが、その多くは社長直轄で、意思決定が早そうなポジションにあるんです。弊社から見ると、新規のアカウントを開ける機会にもなりますので、だんだん注目してもらえるようになりました。もちろん、喜ばれた部門もあれば、「ふーん」と遠目で見ていた部門もあって、いろいろでしたけれどね。

田澤:はじめてのことでしたからね。

中村:実際の社内変化は2018年頃でしょうか。自社のコアビジネスとして新サービスをつくっていく必要性についてトップメッセージが発信されまして。我々が、ソーシングしてきたスタートアップと一緒に打ち合わせをして、新しいことを生み出していこうという熱量は、その後随分増えたと思います。

■スポーツ事業全体に波及するような仕掛けを考えたい

―スポーツ分野のアクセラレータープログラムについて、もう少し詳しく伺えますか

田澤:募集をはじめたのが、2018年の2月くらいですね。3ヶ月間で実証実験まで進めていくというプログラムでした。4月中旬にエントリー企業からのピッチイベントをこの会場で行いまして。事業会社、VC、TISメンバーなどの関係者に参加してもらいました。27社からエントリーを頂いたのですが、7社を採択してプログラムを進め、成果発表会で一区切りという流れです。各社の事業をどう加速化していくかというプログラムでしたので、外部メンターにも入ってもらいました。

―スポーツヘルスケア領域はどのような背景があるのでしょう

田澤:国内では徐々に、スポーツ領域でのテクノロジーが注目されましたよね。バレーボールでiPadを使って相手チームの分析をしているなんて話が語られていましたが、まさにスポーツとIT・テクノロジーを掛け合わせていろんなツールが開発されていたはずです。ただ、どれも「選手の強化」とか「集客をあげる」ような、単一課題に対するツールなんですね。スポーツ事業全体を捉えるようなツールは目ぼしいものがありませんでした。そこに対し、弊社が応援していた「おこしやす京都AC」(https://ococias.kyoto/)というサッカークラブの担当者が、課題意識を持っていたんです。ただし自分たちだけでは形にするのが難しいと思われて、「TISさんが主体として回して、我々おこしやす京都ACがリソースを提供し、イノベーションスポーツ事業を進めませんか」という話を頂きました。弊社としても、今後の流れを考えてやろうと決めたんです。

―その際にどういう検討をされたのでしょうか

田澤:1つはTISにとっての有益性です。他に先んじて新しいことをやろうという風潮もありました。たとえばスポーツスタジアムで現金を持たなくてもスマホ決済をして、売り子さんからビールが買えるようにするとか。技術を活用した新たなサービスが、いろいろと考えられそうな領域だと思いました。

―プログラムの中身はどのような進め方なのでしょう

田澤:私が担当していたものを1つご紹介しますね。採択した企業の中に、ドリコス株式会社というオーダーメイドサプリを開発している会社がありました。そこがこのプログラムを通じて「オフィスで働く従業員の健康にサプリを」というコンセプトを固め、健康経営ニーズに向けたサービスをはじめたんです。

実際の活動としては……まず仮説を立てて、調査をしました。そうすると、「健康経営の進め方を模索中」という会社の声が多く耳に入ってきました。そこで、健康経営に役立つ指標があると重宝されるだろういう点に注目しまして。ドリコスの機器を使い、弊社の従業員10数名に協力してもらって、ストレス状態や、筋肉量の数字を測定。月1くらいの頻度で実態調査をし、運動プログラムの導入とその後の健康チェック、身体や意識の変化を実際にモニタリングしていきした。

-思い通りに進んでいったのでしょうか

当初自分たちが思い描いていたものと、違いも出てきましたね。たとえば、体重指標だけでは気づかない状態が、ストレス指標も含めると見えてきたりしまして。また、協力してくれた人たちの変化もありました。参加しているうちに興味が高まったみたいで、「これ面白いから参加しようよ」と周りに呼び掛けてくれたんです。連続したデータを取れたこともあり、事業として発展させることになりました。

■外部メンターのアドバイスや人脈が、アイデアを前へ進める時に役立つ

-プログラムの過程ではどういう点を工夫されましたか

田澤:外部メンターをつけたのですが、これがとても有効でした。正直、何からスタートするか、どのプロジェクトも最初のアプローチが難しいと思っていたのですが、そこはメンターのアドバイスや人脈があって、前に進んだ気がします。ドリコスさんの場合は、情報収集に弊社の事業部が協力してくれて、その先のお客様ヒアリングもできたのことも大きかったです。

-メンターはそもそもどう選定されたんですか?

田澤:最初はまず、協力頂ける人を発掘しないといけないと思っていたので、スポーツ系のイベントに自発的に足を運んでいました。実際、イベントで知り合ったことを機にメンターをお願いした人もいますね。「実はこういう活動を弊社がこれからやっていこうと思う」というところから説明して、理解してもらった形です。

中村:先ほど話した「おこしやす京都AC」の縁で出会い、「メンターになってほしい」と相談して了承頂いた方もいました。

―スポーツだけでなく「ヘルスケア」というキーワードも使われていますね

中村:我々は最初から「スポーツ」という分野を幅広く捉えています。もちろん、2020年も近いのでスポーツそのものも力を入れたい領域でしたが、延長線上に「ヘルスケア」事業もあって。様々な事業との親和性があると思っています。いろいろと検証して、有望さが見えてきたテーマでもありましたからね。

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